TEAM ANOTHER COLA 叶辰郎さん「自然がつくる甘さを最大限活かす」
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このコーラは、 「安く、早く、大量に」をつくるためのものではありません。
奄美大島・瀬戸内町。
ここで、肥料も農薬も使わず、自然の循環だけでサトウキビを育てている人がいます。 叶辰郎さん。
一般的なサトウキビ栽培では、収量を安定させるために肥料を使い、病害虫から作物を守るために農薬を使います。
それ自体は決して悪いことではなく、安定供給や農業経営を考えれば、とても合理的な方法です。
ただ、無農薬・無施肥となると話は全く変わります。
土に栄養を足さないため、土そのものの力を育てる必要があります。
病害虫が来ても、薬で簡単に対処することもしませんし、天候や環境の変化も、そのまま収量に影響します。
つまり、自然の状態を受け入れながら育てるしかない農業です。

当然、簡単ではありません。昨年は猪被害もあり、思うように収穫量を確保できなかったそうです。
猪に限らず、苦労して育てたサトウキビが荒らされることはあるようです。
それでもまた畑を整え、また植え、また育てるを淡々と進めていきます。
自然栽培は、何もしない農業ではありません。
むしろ逆で、自然をよく観察し、人がより深く関わり続ける農業です。
自分も何度か、伐採や畑作業を手伝わせてもらったことがあります。
その作業は派手さなんて一切なくて、ただ黙々と進んでいきます。
でも、その姿勢にすごく説得力があるんです。
こちらが何を聞いても、丁寧に、優しく教えてくれますし、どこか実家に帰ってきたような安心感がある人で、自然に人が集まってきます。
でも、その優しさの奥には、絶対に手を抜かない強さがあります。
畑に生える雑草も、サトウキビの搾りかすも、また土へ戻す。
自然の中で循環させながら、土そのものを育てていく。
「自然なもの以外は畑に必要ない」
この言葉を、本当に実践している人です。
収穫もすべて手刈り。
ハーベスターを使えば早いし、効率もいいですが、機械ではなく、人の手で一本ずつ刈り取っていきます。
それは単なるこだわりではなく、味のためです。
機械化を進め、大量生産を前提にすると、効率は上がります。
その代わりに失われるものもあります。
叶さんは、その失いたくないものを守るために、この方法を続けています。
製糖も同じです。しぼり汁を何度も濾し、灰汁を丁寧に取りながら、時間をかけて炊き上げていきます。
油を入れれば、もっと簡単に、もっと早くつくることもできますが、それでも入れません。
理由はシンプルで、 サトウキビ本来の風味を壊したくないからです。
この積み重ねが、特別な味を作っていきます。

49歳のとき、大病を経験した叶さんは、 「誰でも安心して食べられるものをつくる」と決めました。
それ以来、農薬にも肥料にも頼らず、自然の力だけでサトウキビを育て続けています。
収穫して、炊いて、また植える。その繰り返しで、効率ではなく、思想で続いてきた黒糖です。
そして、ANOTHER COLAは、この黒糖を使っています。理由は、正直すごくシンプルです。
この黒糖じゃないと、成立しないからです。
叶さんの黒糖は、やさしい甘さなのに、後味が驚くほど軽いです。
口に含んだ瞬間にはしっかりコクが広がるのに、引き際は静かで、全く重く残らない。
砂糖というと、甘さを足すものと思われがちですが、実際は違います。
砂糖は、味全体の土台を決める素材です。この土台が重いと、スパイスが濁ります。
逆に、土台が澄んでいると、スパイスがまっすぐ立ち上がっていきます。
叶さんの黒糖は、その輪郭を綺麗に出すために必要な材料です。
だから、ANOTHER COLAのスパイスは最後まで濁らないんです。
飲んだあと、身体に変な重さが残らず、自然のままの味が、無理なく、静かに身体に入ってきます。
この感覚をつくれる黒糖は、なかなかありません。だから、使っています。
この一杯は、 ただ素材を集めてつくったコーラではありません。
