TEAM ANOTHER COLA 和田昭穂さん「この塩は、掃除から生まれた」
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ANOTHER COLAに使用している塩、打田原のマシュ。70歳で故郷に戻り、海岸清掃から塩づくりを始めた和田昭穂さん。この塩を選ぶのは、味だけでなく、その背景と哲学のためです。
打田原のマシュとは
鹿児島県奄美市笠利町・打田原集落でつくられている天然塩です。打田原では、マシュやどりと呼ばれる塩焚き小屋が各戸にあり、海水を炊いて塩をつくり、それを街へ運んで生活の糧にする文化がありました。現在ではその多くが失われ、手作業による塩づくりは限られた形で残っています。
海岸清掃から始まった塩づくり
この塩づくりを現在の形で立ち上げたのが、和田昭穂さんです。和田さんは長年、大阪で教職に就いた後、70歳で故郷の打田原に戻りました。
塩作りのきっかけは、海岸の清掃でした。浜に流れ着く流木を処理する中で、燃料として使えることに気づき、塩づくりへとつながっていきます。もともと塩づくりを目的として始まったものではなく、環境整備の延長線上で生まれた取り組みです。
戦後奄美の記憶を引き継ぐ
和田さんが若かった頃、奄美はまだ日本に復帰しておらず、専売公社の影響を受けない環境の中で塩づくりが行われていました。つくった塩を担ぎ、30キロの道のりを歩いて名瀬まで運び、その売上で学校に通っていたといいます。塩は、生活の一部として存在していました。その時に身についた技術と感覚が、現在の塩づくりに引き継がれています。
1日1,000リットル、10時間の仕事
製造は、海水を炊き上げる伝統的な方法で行われています。海水は工場前の打田原ビーチから汲み上げられ、砂の自然ろ過を通してパイプで引き込み、ポンプで工場内へ送水します。1日に約1,000リットルの海水を使用し、午前8時頃から約10時間かけて炊き上げます。燃料には薪を使用しています。
どの段階でどの程度調整するかは、数値ではなく、炊き上がりの状態を見て判断されます。同じ工程をなぞることはできても、最終的な仕上がりは経験に依存します。
ANOTHER COLAがこの塩を選ぶ理由
打田原のマシュは、まろやかで角がなく、旨みがありながら後味が残りにくいのが特徴です。主張しすぎず、他の素材の味を引き立てる性質を持っています。ANOTHER COLAでは、この塩を最終的な味の調整に使用しています。甘さ、酸味、スパイスのバランスを整え、全体の輪郭をまとめる役割を担っています。
この塩を選んでいる理由は、味だけではありません。どのように作られているか。どのような背景を持っているか。どのような考え方の中で生まれているか。それらも含めて、プロダクトの一部と捉えています。
ANOTHER COLAは、こうした選択の積み重ねで構成されています。一杯の中に含まれているのは、原材料だけではありません。その背景にある工程や時間、地域の営みも含めて、味として成立しています。
※掲載にあたり、ご本人の許可をいただいています。