同じものをつくらない、という選択。

同じものをつくらない、という選択。

飲み物をつくるという行為は、本来ここまで面倒である必要はありません。

レシピを決めて、同じ材料を揃えて、同じ工程でつくる。

それを繰り返せば、同じ味は再現できます。むしろ、それが普通の作り方です。

安定していて、効率的で、品質も管理しやすい。

ビジネスとして成立させるのであれば、そこを目指すのが合理的です。


ほとんどのブランドは、その前提の上に成り立っています。

だからこそ、どこで飲んでも同じ味がするとても優れた仕組みです。


でも、奄美コーラANOTHER(アナザー)はその前提から外れています。同じものをつくっていません。

結果として、毎回少しずつ違うものが出来上がります。

それは意図的に崩しているわけではなく、そうなってしまう設計にしているだけです。

使っている素材が、その理由の一つです。

みかんは同じ農家であってもロットごとに味が変わりますし、生姜やウコンも、その年の気候や土壌によって風味が全く違うものになります。

自然素材には、完全な均一というものが存在しません。

通常であれば、それらを均一化します。

ブレを消すために調整し、どのロットでも同じ味になるように設計します。

それが品質管理であり、一般的な正しさです。


しかし、奄美コーラANOTHER(アナザー)は、その調整を最小限に留めています。

ズレをなくすのではなく、そのまま受けいれます。その結果、味は毎回微妙に変わります。

それは再現できていないのではなく、その瞬間の最適解を出しているという考え方です。

この発想は、料理に近いものがあります。

同じレシピでも、素材の状態や火加減、つくる人によって味は変わる。

それを誤差と捉えるのか、それとも価値と捉えるのか。

奄美コーラANOTHER(アナザー)は、その違いを価値として扱っています。


ただ、このやり方はビジネスとしては非効率です。

味が固定されず、再現性も低く、スケールもしづらい。

通常であれば避ける設計です。

それでも続けているのは、自然に合わせるという前提を選んでいるからです。

人間が自然をコントロールするのではなく、自然の状態に人間が合わせていく。

この考え方が、すべての起点になっています。


この思想は、ものづくりだけでなく、ブランドの戦略にも現れています。

多くの事業は、計画を立てて売上や数量をコントロールしながら拡大していきますが、ANOTHER(アナザー)はそこにも完全には従っていません。

無理に広げない、無理に増やさない。

その時、その場所、その関係性の中で成立する分だけをつくる。

一見すると遅いですが、その分だけ密度は高まっていきます。

ANOTHER COLA(アナザーコーラ)は、完成された商品ではありません。

つくるたびに変わり、関わる人が増えるたびに意味が変わっていく。

ブランドというより、ひとつのプロセスに近い存在です。

正直に言えば、このやり方が正しいかどうかは分かりません。

もっと効率的な方法も、もっと早く広げる方法もあります。

それでも、それを選んでいません。その方が面白く、そのほうが長く残る可能性があると考えているからです。

消費されるものではなく、記憶に残るもの。ただ飲んで終わるのではなく、後から思い出されるもの。ANOTHER COLA(アナザーコーラ)は、そういう存在を目指しています。

もしこの文章を読んで、少しでも引っかかるものがあったなら、それは意図通りです。このコーラは分かりやすくありません。

でも、分からないままでもいいと思っています。

ただ一つ確かなのは、この一杯の裏側には、意図的に非効率な選択を積み重ねている人間がいるということです。


もし興味があるなら、飲んでみてください。

そして、できれば奄美大島に来て話しましょう。

なぜ、こんなつくり方をしているのか。なぜ、それでも続けているのか。

ただ美味しいではなく、その商品のストーリーまでみて買いたいという方にこのコーラはきっと合っていると思います。
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